最悪の展開になった。
先生とのお話は、おとさんは「次の治療方法の相談かな?」と思っていた。先生と向い合い、話し始める直前まで。
そんな甘い見込みは、一瞬で消え去った。
話を聞いたところ、お姫さんは以下の状況に追い込まれていたのだ。
① 未明にこれまでにない腹部の激しい痛みを訴える。痛み止め静脈点滴するもほとんど効かず。
② 39度ほどの高熱が続いている。
③ 朝の血液検査の結果、白血球数が21000個/ulと著しく増大。
これらのことから、”腸管破裂または腸管壊死による腹膜炎の可能性が高い”とのことであった。最も恐れていたことが起こってしまったのだ。
腸管破裂の場合、本来ならば緊急手術が必要だが、お姫さんの全身状態からすると手術を強行するのは本人を苦しめるだけの可能性が高く踏み切れないとの先生の判断だった。腹膜播種が原因でお腹のなかが”かちかち”で、腹膜炎があまり広がらないこともあるらしい。
手術ができないとなると、薬しか方法がない。
対応として、鎮痛剤の増量と抗生物質・鎮静剤の投与をし、お昼頃にはお姫さんは、落ち着きを取り戻したとのことだった。
おとさんは不安になって残りの時間はどのくらい残されているのかを聞いた。
先生は非常に言いづらそうにこう言った。
「腸が破裂していて腹膜炎が一気に広がれば最悪の場合なら2、3日、そうでなくても、もって1月中でしょう。」
そんな馬鹿な。。。。。そんな馬鹿な話があってたまるか。
つい2週間前のお正月は、お姫さんは特に苦痛もなく家に帰ってこれたのに。。。。。
元気な頃と一緒というわけにはいかないけれど、それなりに楽しい正月を過ごせたのに。。。。。
これを聞いたあと、お姫さんを見舞った。
おとさんは、頭が真っ白になっていたのを何とか元に戻し、いつもと同じようにお姫さんに笑って話しかけた。一世一代の大嘘だ。。。。。
お姫さんは、痛みが治まったので穏やかな表情をしていた。いつものときと変わらない会話をした。
「アイスコーヒー飲みたいな。おとさん、飲まない?」とお姫さん。
「じゃ、買ってくるよ。砂糖ありでクリーム抜きね。」
自動販売機への往復の間、おとさんは涙がこぼれそうで仕方がなかった。でも必死でこらえた。
お姫さんのところに戻り、最初の一口をあげた。
「おいしい~!」と満面の笑みをお姫さんが浮かべる。
こんな顔をみたら、もう残り時間が少ないなんて信じられないし、言えないよ。。。。
お姫さんを見舞った帰り道、病院から家まで車でどこの道を走ったのか、今思い出そうとしてもまったく覚えていない。
気持ちを落ち着けるために、音楽を大音量でかけながら周囲をドライブしたのだが。。。。
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